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天空の岩と滝(船上山・自然編)

高い所が得意でない。先日、高層階にある知人のマンションを訪ねて、ベランダから下をのぞいたら吸い込まれそうになった。怖い怖い。だが、通常使用では事故が起きない構造になっているし、妙な吸引力など存在しないはずだ。

自然界はどうだろうか。本当に危険な場所はそこここにある。本日は絶景かつデンジャラスなスポットを紹介しよう。

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鳥取県東伯郡琴浦町山川の船上山に「千丈のぞき」がある。

この日は雲が多く、時折強い風が吹きつけてくる。岩から思い切り手を伸ばして絶景写真を狙っている時もそうだった。近くの灌木の陰に身を寄せて、風の圧力と音に耐えていた。

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「千丈のぞき」から見た「屏風岩」である。遠くに「千丈滝」の雌滝が見える。船上山はメサ状溶岩台地。いったい、いつ頃できたのだろうか。『船上山案内記』(立花書院)では、次のように解説されている、

船上山は、広い溶岩台地形がよく発達し、この台地の末端では東西及び北の三方が比高百米以上の柱状節理による絶壁(屏風岩)が取り囲み、約六十万年前に形成された。この屏風岩の岩質は、両輝石安山岩である。

形成は約六十万年前とされるが、百万年前だともいう。いずれにせよ、大山の火山活動と密接に関係するようだ。そう考えてみると、かつての大山はとてつもない火山であり、噴火列島日本の重要スポットだったに違いない。

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船上神社から南へ進むと「千丈滝」の雌滝の上流があり、さらに先へ行けば「千丈滝のぞき」にたどり着く。

ここは雄滝の真上に当たる。向かい側には「屏風岩」があり、その下に広がる緑の傾斜地は「茶園原」と呼ばれる崖錘(がいすい)である。上部から崩落した砕屑物(さいせつぶつ)が堆積したものだという。

子どもの頃、地域の火の見やぐらに決死の覚悟で登ったことがある。下を見るな、上を見ろ。そんな勢いが今は失われて、背を丸め下ばかり見て暮らしている。下とは足元のことかと思いきや、写真のような奈落の底なのかもしれぬ。吸い込まれてはならない。


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