岡山県は果物王国である。とりわけ桃とぶどうは全国に知られる。実りの季節も終わったのだが,ぶどうの話をしたい。マスカットは球場の名前になるほどビッグネームだ。しかし最近では,種があるだの皮離れが悪いだのと敬遠する向きもあるようだ。そこで人気が出ているのがピオーネである。
ここは新見市豊永地区。
約300戸の農家がピオーネを栽培する。夏に冷涼な気候が実の着色に有利なのだ。平成になってから順調に売り上げを伸ばし,現在では東京市場でも好評だ。 伊勢丹や千疋屋でも扱われているらしい。
これは8月段階の着色しかけの房だが,実りの時期には紫紺に大粒が輝く。昭和50年代後半までは葉タバコの生産がさかんで,ピーク時には年間総出荷額が11億円を越える大産地だったという。しかし,減反政策や連作障害による生産性の低下などが原因で栽培面積は減少していた。そこで,代替作物として導入されたのがピオーネである。昭和62年のことだ。最初にチャレンジしたのは13人だったらしい。
脱サラして新規に就農してピオーネ栽培を始める方もいるようだ。農作物は気候に左右される。古くからの農家の方も「毎年が1年目じゃ」と言う。収穫は終わったが,土壌改良や落葉集めなど,来年の実りのために農家の作業は続いている。
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