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洞庭湖の水の色をした花

中国に湖北省と湖南省があるが、この省名に登場する「湖」が「洞庭湖」である。見たことはないがその景観はたいそう美しく、「瀟湘八景」として我が国の近江八景など美観ベスト8のモデルとなっている。本日は洞庭湖ゆかりの植物の紹介である。

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鳥取県東伯郡湯梨浜町橋津に「トウテイラン自生群落」がある。町指定天然記念物である。

色鮮やかな深い青色を何と表現したらよいのだろう。青紫と言えば普通だし、群青と言えば合唱曲を思い出す。コバルトブルーはかっこいいが、本当にこんな色かよく知らない。説明板を読んでみよう。

トウテイラン Veronica ornata Monjuschko
湯梨浜町指定文化財 天然記念物 トウテイラン自生群落
指定年月日 昭和五十二年三月二十八日
トウテイランは、ゴマノハグサ科のルリトラノオ属に属する多年草です。世界的にも珍しく隠岐島、近畿地方北部の日本海側の海岸、そしてここ湯梨浜町橋津などに稀に自生する日本固有の乾生の植物です。
形状は、高さ三〇~六〇センチに達し、葉も茎も白い軟毛に覆われて白く見えます。
八~九月下旬頃には、青紫色の小さな花が下方より咲きあがり、秋には小さな実をつけます。
その花は、中国湖南省の洞庭湖(どうていこ)の瑠璃色の水のように美しいといわれており、このことから「洞庭藍(とうていらん)」の名がつけられたそうです。
湯梨浜町では、「トウテイラン自生群落」を町の天然記念物に指定するとともに、町の花にも指定し、大切に保護しています。この貴重な植物を残し、増やしてい くため、この地で育てています。
湯梨浜町・湯梨浜町教育委員会

洞庭湖の水は瑠璃色をしているという。それを思わせる鮮やかな花をつけるので「洞庭藍」と名付けられた。「どうてい」ではなく「とうてい」と読む。中国語ではこの湖を「トンティンフー」と呼ぶ。

瑠璃色は美しい色名だ。瑠璃とはラピスラズリだというが、それなら私も知っている。青の都サマルカンドであり、フェルメールのウルトラマリンである。ずいぶん以前に国立西洋美術館で見た「マーテル・ドロローサ」も思い出す。この色は吸い込まれそうなほど深い。

洞庭湖の水が本当に瑠璃色なのかは知らない。もしかすると理想化されたイメージが先行しているのかもしれない。それでもやはり「洞庭藍」の名が相応しいように思える。洞庭湖は八景発祥の地なのだから、さぞかし美しいに違いない。


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