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オールスターの日替わり神様

ブログ開設以来の総アクセス数が65万を突破いたしました。これもひとえにみなさまのおかげと感謝申し上げるとともに、史跡巡りにご相伴できますよう今後の精進を誓う次第です。

「本日の日替わり」というとランチだ。唐揚げかな、ハンバーグかな、と店に入る前から脳内が満たされていく。栄養のバランスさえあれば、毎日同じメニューでも身体は維持できるのかもしれない。しかし、脳が単調さに耐えられないだろう。本日も日替わりメニューでリフレッシュだ!

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岡山市北区建部町福渡の日蓮宗寺院、金福山妙福寺に「妙福寺番神堂」がある。合併前には建部町指定重要文化財(昭和43年7月10日指定)だった。

お寺の境内ながら神社のような建物だ。どのような点が貴重なのだろうか。平成8年発行『たけべの文化財(改訂版)』には、次のように記載されている。

一間社、単層春日造、本瓦葺。宇喜多直家の家臣、日笠次郎兵衛頼房の建立と伝え、軒屋根の一部を修理しているほか、もとの形を損じていない。番神堂としては立派なものである。(平成2年に改修され、現在は屋根が銅板葺となっている。)

春日造は春日大社本殿のような神社建築をいう。日笠頼房は和気町の日笠青山城主で、浦上宗景に仕えていた。宇喜多直家には属していないはずだが、どういうことか。

福渡は今でこそ岡山市だが、かつては美作国だった。美作の地誌『作陽誌』西作誌中巻「久米郡南分」寺院部の「金福山妙福寺」の項には、次のように記されている。

天正元年沼元与太郎久家与日笠次郎兵衛頼房剏建焉
蓋久家者直家族也頼房者直家臣也仍相共営之

沼元久家は近くの大植城主、宇喜多直家の麾下として活躍した武将だ。妙福寺の建立には沼元氏が強く関係すると見るのが自然だろう。番神堂も桃山期の作例として貴重なのだろうか。それほど豪華な感じもしないのだが。

さて話は冒頭の日替わりに戻る。この番神堂に祀られているのは三十番神という30柱の神々で、毎日交替で法華経を守護するのだという。その30柱とは…。

熱田、諏訪、広田、気比、気多、鹿島、北野、江文、貴船、伊勢、八幡、賀茂、松尾、大原野、春日、平野、大比叡、小比叡、聖真子、客人、八王子、稲荷、住吉、祇園、赤山、建部、三上、兵主、苗鹿、吉備津

まさに神々のオールスターだ。ありとあらゆる功徳がありそうで実に心強い。合併後は市の文化財指定から外されているようだが、建造物としてよりも神仏習合の名残として、オールスターが日替わりで鎮座する最強のお堂として、その重要性はいささかも減じていないことを明記しておきたい。


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