都会には何でもあるものだな,と感心した。自転車と人がエレベータに乗って降り,歩いて河底を渡って再びエレベータで地上へ昇る。珍しそうにキョロキョロしたりカメラを向けたりしている挙動不審者は私しかいない。地元の方にとっては日常行為の一つにしか過ぎない。
大阪市に此花区と西区を結ぶ「安治川隧道」(安治川トンネル)がある。昭和19年9月15日の竣工である。
このトンネルは平成18年度に土木学会選奨土木遺産に認定されている。受賞理由は「戦前唯一の道路用河底トンネルで、日本最初の沈埋トンネル工法によって建設された。現在も歩行者のみではあるが使用されている。」ということだ。自転車は押して通ることとなっている。
昭和52年までは自動車もエレベータで降りて通行したというから驚きだ。1枚目の写真で左手に今も残る自動車入口を見ることができる。
昨年に阪神なんば線が開通しトンネルに平行して橋が架かった。しかし,この河底の土木遺産は生活の道として多くの人に活用されている。本当に大切なものは見えないところにあるのかもしれない。