昨年9月のNHK「ミステリアス古墳スペシャル」で、「天空のピラミッド」と紹介されたのが千曲市の森将軍塚古墳だ。長野盆地が一望できる好立地で、前方後円墳が美しく復元されている。やや形がいびつなのは山の中腹の尾根に造成されたからだという。
本日訪れる古墳は「日本の中心」に最も近い山上にある。中心に近いとはどういうことか。どのような眺めが待っているのか。ミステリアスな古墳探訪の始まりである。
西脇市上比延町(かみひえちょう)に県指定文化財の「岡ノ山古墳」がある。
「日本の中心」については以前の記事「日本の中心はここだった!」にまとめている。中心には各説あるが、ここ西脇市上比延町は経緯度交差点として知られている。経線緯線が交差する地点は無数にあるが、東経135度と北緯35度のラインが交わるのは1点のみ。
ただ一つと言いながら、技術の進歩により新旧二つの経緯度交差点が存在している。このうち最新技術で測定された「平成のへそ」と呼ばれる地点から、さらに山を登ると岡ノ山古墳に到着する。へそと古墳の分岐点にある説明板を読んでみよう。
岡ノ山古墳は平地との比高約75メートルの独立した山の頂に築かれた前方後円墳である。墳丘は全長51.6メートル、後円部径35.5メートル、高さ7.7メートル、前方部幅12.9メートル、高さ3.7メートルを測り、前方部は細長い柄鏡(えかがみ)式で、後円部は2段築成されている。外部施設は石垣状の葺石が認められるが、埴輪類は確認されていない。埋葬施設は墳丘主軸に並行した竪穴式石室と推定される。
確実な築造年代は出土遺物が知られていないため不明であるが、前方部が柄鏡式であることや、山頂に築かれていることから、古墳時代前期でも早い段階(4世紀前半)の築造である可能性が高い。
平成7年2月 兵庫県教育委員会
柄鏡式とは前方部が撥形に開くのではなく長方形を呈している古墳である。桜井市にある「外山(とび)茶臼山古墳」も代表的な柄鏡式古墳で、箸墓、西殿塚に次ぐ三代目の大王墓だと言われている。4世紀前半の築造とされる岡ノ山古墳は第三代大王の有力な家臣だったのだろうか。
森将軍塚はNHKが採り上げるほど美しく整備され眺めもよいが、こちらは木々に覆われて墳形を確認するのがやっとだ。しかし、ある意味、日本の中心に最も近接している古墳と見ることもできる。もしかすると我が国の守護神が眠っているのかもしれないし、3Aと岸田新総裁のように外山茶臼山と単に親分子分の関係なのかもしれない。