クエイ! イーコウ,アルコウ,サンコウ… ひれ伏せ臣下どもっ! 映画かパソコンの中でしかありえそうにないことが現実だったことを理解した。これだけ巨大な権力装置を構築されたら何人もひれ伏さざるを得ない。三跪九叩頭の礼はこの場所にこそ相応しい。
中華人民共和国北京市東城区に「故宮博物院」がある。写真は太和殿から南面した状態である。この夏も北京は内外の観光客で賑わっていた。脇見をしているとガイドさんを見失ってしまうくらい大勢の人で溢れていた。そう思っていたのだが,この写真を見ると随分と人のいない空間があることに気付く。それほど広いということか。
太和殿の横に銅製の甕があり,金が削り取られた痕がある。義和団事件の際,八か国連合軍の兵士が銃剣で行ったものらしい。中華世界の心臓部がこの有様だ。清末期の苦悩が偲ばれる。
御花園の東辺に位置する万春亭の内部を見上げている。曼荼羅のようでありルーレットのようであり,中心に向かっているようであり放射しているようにも見える。それほど大きくはない明代の建物だが,中華世界を象徴しているように思えたことだ。