今年は津市にとって「藤堂高虎公入府400年記念」の年に当たり,各種のイベントが実施されている。「シロモチくん」という三段重ねのお餅が兜を被っているキャラクターは,ゆるキャラとして人気があるようだ。
ゆるキャラは一見理解を超えているようで,必ず由緒がしっかりしている。シロモチくんは,高虎の旗指物「三つ丸餅」に由来し,「城持ち」にも掛けているらしい。兜はウサギの耳のような変わり兜で,これは津城跡の高虎像からイメージしたものだろう。
伊賀市上野丸之内の伊賀上野城に「黒漆塗唐冠形兜」という変わり兜がある。この兜は高虎が秀吉から拝領し,長年愛用していたものだそうだ。この兜のイメージが銅像,そしてゆるキャラへと受け継がれているに違いない。
高虎は慶長13年(1608年)10月に津に入城した。ここのところ全国各地で築城400年,開府400年の記念事業が行われている。近世城郭の建築,城下町の形成,幕藩体制の始まりは,変わり兜の好まれた時代の出来事であった。