東京スカイツリーに行ったことはないのだが、最寄駅が「とうきょうスカイツリー駅」だと知っている。そして、この駅がスカイツリー開業前には「業平橋(なりひらばし)駅」という名称だったことも知っている。
「業平橋駅」という駅名から容易に想像がつくが、近くに「業平橋」がある。この橋の名は、墨田区吾妻橋三丁目6番にあったという南蔵院の境内に「業平天神社」があったことに由来する。
既にお気付きであろうが、業平とは「在原業平(ありわらのなりひら)」であり、『伊勢物語』が語るように隅田川を渡る際に「名にし負はば いざ言問はん都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと」と詠んだ昔男である。
だから「業平橋」は当然、隅田川に架かる橋かと思っていたら、大横川親水公園にあるらしい。
これではいけない。業平橋は隅田川に架かっていてほしい。勝手な願いを抱いて探したら、見つかった。クレヨンしんちゃんの春日部市である。
春日部市南中曽根と道順川戸(どうじゅんかわど)を結んで「業平橋」がある。川の名は「古隅田川(ふるすみだがわ)」である。もともとは100mほど上流にあったものらしい。
この橋は明治21年に架けられたというから、在原業平に比べると最近のものである。それでも「業平橋」と命名されたのは、古隅田川にちなむものだろう。古隅田川とは興味深い名称だ。古い時代には隅田川がここを流れていたということだろうか。
ところが、よく調べてみると、この川は古隅田川の本流ではなく、正確には「旧古隅田川」だそうだ。古い隅田川よりさらに古いとは、神武天皇でさえ「これは古い」とのたまうくらい古い。
旧古隅田川の旧堤防が古隅田公園になっている。かつては大きな川だったのだ。
下の写真は「やじま橋」で、元文2年(1737)に、岩槻城主永井氏の命により古隅田川にかけられた県内でも最も古い石橋のひとつ、ということだ。春日部市指定有形文化財(建造物)である。上の古隅田公園に入ってしばらくの場所にある。
川をどんどん下っていくと、大きな川の右岸で合流する。古隅田川が合流するこの大きな川の名がすごいのだ。
その川の名は「大落古利根川(おおおとしふるとねがわ)」、あの大河川、利根川の旧流路だそうだ。春日部おそるべし。隅田川、利根川という関東を代表する河川が出合っているのだ。クレヨンしんちゃんもぶりぶりぃーである。
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