総記事数が1300本に達しました。ご覧いただきまして誠にありがとうございます。今後もみなさまの史跡めぐりの一助となる情報をお届けしてまいります。どうかよろしくお願いします。
動かざること山の如しであって、滝の如しではない。それでも「不動滝」と呼ぶはこれいかに。不動滝は全国各地にあり、「日本の滝百選」に4つも選定されている。昨夏にその一つを訪れたので紹介しよう。
宍粟市波賀町原のあたりに「原不動滝」がある。吊り橋から間近に観賞できるが、全景をカメラに収めるのは難しい。
三段に分かれた優美な滝で、写真では一段目が木陰で見えない。また、三段目は滝壺へと落ちているが、左隣から女滝も流れ込んでいる。その姿は昭和44年発行の国定公園シリーズ切手「氷ノ山後山那岐山国定公園」にも描かれた。
不動滝という名称は「不動明王」を祀っていることに由来する。不動明王は動かないというより、ゆるぎない守護者という意味だそうだ。その不動明王を滝に祀ることが多いのは、憤怒の形相が滝の荒々しさに通じるからだろうか。それとも、滝の水煙が明王が背負う火焔のように見えるからだろうか。
滝の由来を記した説明板があるので読んでみよう。
不動滝と不動尊の由来
昔(年代不明)、道範と道槇という僧がいました。ある時金色の飛龍が美しい渓谷に姿を消しました。 僧はその飛龍を神の化身「本尊倶利加羅不動明王」であると思い、その渓谷の滝に身を打たせ荒行を続けたと伝えられ、そのことから不動滝と呼ばれ るようになりました。
山の中腹にあるお堂は天保年間(紀元1830~1843年)十三世宥雄上人が九州から神の霊を移し、それを不動堂と名付けたと伝えられている。
倶利加羅不動の加は伽が正しい。この不動は竜が剣に巻き付いて切っ先を呑もうとする姿をしている。もちろん背後には火焔が立ち上っている。この竜を水流、剣は岩、火焔を水煙と見れば、それは滝そのものである。全国に不動滝が多いのは、豪快な瀑布を倶利伽羅不動に見立てたからではないだろうか。
これから秋が深まっていく。紅葉と滝はこの季節を代表する風景だ。今年は11月4日(日)に「元祖もみじ&りんごまつり」が行われる。原不動滝周辺は次第に、真紅に染まっていくのだろう。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。