復興五輪やらコンパクト五輪の理念で始まった東京オリパラは、「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として開催する」という。打ち勝ったとはつまり、ワクチンが効けばということだろう。何もかも経費は膨らみ続けている。
そんな瀬戸際の状況下で、大御大の森会長が「女性は話が長い」と、五輪が掲げる多様性にまったく配慮しない発言をして炎上している。崇高な理念と旧態依然たる老政治家。謝罪会見が逆ギレ会見となり、欧米各国から人権意識の低さにあきれられても、誰も引導を渡そうとしない。
そんな曲がったことが嫌いな人も、この褶曲には魅了されるだろう。
東広島市安芸津町風早に「大芝の摺曲した地層」がある。
心地よいくらいに曲がっている。大地の力で地層は曲がり、政治の力でオリンピズムの根本精神は曲げられてしまうのか。いや政治の力学なんぞ、大地に比べれば風の前の塵に同じ。目の前にある褶曲は、いつどのように生成したのだろうか。説明板を読んでみよう。
東広島市指定天然記念物
名称 大芝の摺曲した地層
所在地 安芸津町風早字大芝653番地の46
大芝島は、全島、中生代白亜紀(約1億年前)の激しい火山活動によって堆積した高田流紋岩で構成されています。
「褶曲した地層」は、大芝島の北東の海岸に位置し、凝灰質岩(火山から噴出した火山灰や火山岩)が堆積した層が、はっきりと露出しています。とくに、左端付近では、美しいはっきりした摺曲構造が見られます。
これは堆積当時水平であった地層が横からの圧力のために波状に曲がったものです。
東広島市教育委員会
なんと1億年前だという。億という位は三億円事件以来、私の中ではとてつもなく大きな数字として認識されている。実際そうだろう。日本列島の土台となる付加体が集積されていた時代だというが、想像の域を超えている。黒い泥岩と白い火山岩が織り成す美しい文様に、火山灰だけではなく悠久ともいえる時間が凝縮されているのは確かだ。
二階幹事長は森会長の発言に憤って辞退を申し出たボランティアに対して、時間が経てば気が変わるだろ、みたいな発言をした。時間の経過とともに移り行くのは大地も人の心も同じかもしれない。しかし、崇高な理念を軽んじる態度が許されることは、未来永劫あるはずがない。
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