石仏は人に安らぎを与えるが,とりわけ岡山市高松地区に散在する文英様石仏は心優しい。戦国末期,文英とその弟子によってつくられ,争乱の時代に亡くなった人々の霊を弔っているという。
加茂小学校の近くのあぜ道に二体の地蔵尊が鎮座する。鎮座というほど堂々とはしておらず,ふっとそこに現れたようにさりげなく座っていらっしゃる。腰投げ地蔵といって,腹痛の時にこの石仏を溝に投げ込めば治る,治ったらまた元の場所に立てていたということだ。「永禄十年七月」の銘がある。
信州の道祖神,薩摩のタノカンサアなども,路傍から我々を穏やかなお顔で見守ってくださる。人の手によってつくられた石造物は,歴史と信仰によって神仏に昇華した。
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