5月が終わろうとしているが,今さらながら鯉のぼりである。気候の変動が激しかったこの一か月,暑かったり寒かったり,風によって尾鰭が綱に引っかかることもあれば雨でだらんと垂れ下がることもあった空泳ぐ魚,その存在を讃えずにはいられない。道往く人々の心の中にまで泳ぎ着いたのであった。
岡山市北区新保に「臨港グリーンアベニュー」がある。平成6年に建設省の「手づくり郷土賞‐ふるさとを紹介する道」を受賞した。写真のように美しい遊歩道に仕上がっており,朝夕に散歩やジョギング,通学をしている人がとても多い。しかし,「臨港」とはいうが港が近くにあるわけではない。どういうことだろう。
ここは廃線跡である。昭和59年12月まで大元駅から岡山港に向けて岡山臨港鉄道が汽車や貨物列車を走らせていた。写真は岡南新保駅と岡南泉田駅の間だ。まっすぐに延びる道筋が線路だった往時を彷彿させる。
この鉄道が廃止となった理由の一つに,岡山駅乗り入れが実現できなかったことが挙げられる。ダイヤが接続していたとはいえ一駅手前での乗り換えは不便だった。そんな廃線跡に今は人が,自転車が颯爽と走っている。その走りが鯉のぼりのおかげで一層爽やかに感じられるのだ。