リサイクルの対象は、古紙や廃プラスチックだけではない。石材だって限りある貴重な資源だ。よく使われる花崗岩は深成岩であり、火山の噴火口から流れ出た溶岩が固まってできるのではなく、地中深く長い時間をかけてできるわけだ。そこで、不要となった石材を新たな用途に転用することは、実に理にかなったことなのである。
高砂市伊保東一丁目に「網堂(あみどう)の石棺仏」がある。
この石棺仏は、今年1月24日付で高砂市ふるさと文化財(建造物)に登録された。「広報たかさご」平成25年3月号(No.816)には、次のように記されている。
時光寺の本尊を川から引きあげた網を埋めた所に建てたという網堂に、地蔵立像を彫刻した室町時代頃の石棺仏がまつられています。地元では、地蔵さんとしてまつられ、毎年8月の地蔵盆には、子どもによる相撲が行われています。
時光寺は高砂市時光寺町にある浄土宗の寺院で、建長元年(1249)に海中から引き上げた阿弥陀如来を本尊として創建されたという。時光寺に三度お参りすると信州善光寺に一度お参りした功徳があることから「播磨善光寺」と呼ばれる名刹である。阿弥陀様が出現したのが川なのか海なのかはここでは問わない。
石棺仏は播磨に集中して見られるという地域的特色がある。播磨のうちでも東播磨に多いようだ。その名の通り、古墳時代の石棺の蓋石を転用している。考えようによっては墳墓発掘罪か器物損壊罪に相当すると思われるが、仏の姿が刻まれ新たな信仰の対象となっているのだから、古墳の主も喜んでおられるだろう。
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