タイタンはギリシャ神話に登場する巨人族の神の名である。この神にちなんで色んなものに名前が付けられている。一番有名なのは豪華客船タイタニック、次に土星の衛星タイタン、そして金属元素チタンである。日本の代表的な巨人ダイタラボッチは世田谷区代田(だいた)という地名の由来となっている。
日本には驚くべきことに、タイタンに由来する恐竜がいるという。半信半疑で現地に向かうと、ブロントサウルスのような恐竜を目撃した。
兵庫県丹波市山南町上滝の丹波竜の里公園に「丹波竜実物大モニュメント」がある。
これはブロントサウルスではなく「丹波竜」である。学名をタンバティタニス・アミキティアエ(Tambatitanis amicitiae)といい、竜脚類ティタノサウルス形類に属する。このティタノサウルスもまたタイタンに由来する。
同じく山南町上滝に「丹波竜化石発見地」がある。このあたりは川代渓谷という奇岩と水流が織り成す美しい景観が続いている。
篠山川に露出している地層は「篠山層群下部層」といい、地質年代はアルビアンに属するという。ざっくり1億1千万年前の白亜紀前期である。説明板を読んでみよう。
ここは丹波竜と呼ばれる恐竜の化石の発見地です。2006年(平成18年)8月7日、足立冽(あだちきよし)さんと村上茂(むらかみしげる)さんの二人が生痕化石(巣穴やはい跡などの生活のあとの化石)を探していると、岩の表面から突き出た灰褐色の物体を発見しました。二人は、重要な化石ではないかと考えて一部分を掘り出しました。その後、掘り出した物体を兵庫県立人と自然の博物館に持っていったところ、恐竜の肋骨(ろっこつ)の化石だということが判明しました。
この化石の発見をきっかけとして、その後6回に渡る発掘が行われました。一回の発掘は、調査前後の工事も合わせて2~3ヶ月もかかる大規模なもので、その結果、肋骨以外にも胴椎(胴の骨)、尾椎(尾の骨)、腸骨(腰の骨)など竜脚類(丹波竜)と思われる複数の骨が発見されました。
こうして篠山層群は北陸の手取層群と並んで恐竜化石で有名になった。丹波竜の生息環境は河川の周囲に広がる氾濫原で、乾季と雨季の明瞭なより温暖な気候だと推定されている。日本はまだ大陸の一部であった。
日本列島にはまだまだ重要な化石が眠っているに違いない。足立さんや村上さんは専門家の方だが、小中学生が発見したという例もある。私なら川に向かって投げていたかもしれない。見つけるぞと思っている人だけが見つけることができるのだろう。求めよ、さらば与えられん。
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