世界三大美女の一人に小野小町を数えるのは世界共通ではないだろう。なにせ日本人でさえ,その容貌を具体的に知る手がかりを持ってはいない。それでも人の口の端に掛かるくらいだから,美女であることは間違いないのだろう。
「小野小町姿見の井戸」が倉敷市羽島の日間山法輪寺の裏山にある。
小町は,小野備中守常澄の娘として生まれ,采女として宮仕えをしていた。しかし,瘡をわずらったため,この地の同族・小野春道をたよって来た。井戸を鏡として自らの顔を映し,法輪寺の薬師尊に願を立てて次のように祈ったところ,全快に至ったという。
南無薬師 衆病悉除の 願ひ立て 身より仏の 名こそ惜しけれ
考えてみれば,私を治さないのは仏のお名前に恥じることではありませんか,という気丈なメッセージである。同様な歌の伝説は,和泉式部を主人公として伝える地域もあるようだ。さすがに音に聞く歌詠みである。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。