当時,赤煉瓦は建物を堅牢にするために使用されたのであろうが,今ではレトロでおしゃれなイメージである。日本赤煉瓦建築番付によると,東には三横綱があり,東京駅,横浜赤レンガ倉庫,そして写真の建物である。
富岡市富岡に「旧富岡製糸場」がある。
写真は原料繭の貯蔵施設の「西置繭所(西繭倉庫)」である。塀の外からの写真ではあまり迫力がないが,広大な敷地に100mをこえる長い倉庫が当時のままに保存されている。木骨レンガ造りのこの倉庫は,明治5年の建築で国の重要文化財に指定されている。現在は富岡市が管理しているが,写真撮影当時は片倉工業㈱の所有であり,見学の機会も限られていた。
「特別外観しおり」によると,官営製糸場が富岡の地に建設されたのは,次の理由による。
①この地一帯が昔から優れた養蚕地帯で原料繭の確保ができること。
②理想的な敷地が確保でき,町民も洋式機械製糸場設立に反対しなかったこと。
③製糸に必要な良質の水が得られること。
④燃料の石炭が近くで確保できること。
富岡製糸場は,官営から三井,原合名会社を経て,片倉工業㈱富岡工場となった。この建造物群は近代日本の誇りである。昭和13年7月から所有し,美しい外観の保存に努めた片倉工業㈱に感謝したい。
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