亜光速で移動すると時間がゆっくり進むため歳を取らないのだそうだ。これをウラシマ効果という。これを正しく理解するためには相対性理論を知らなくてはならないが、手が付けられないでいる。やはり、ここはおとぎ話の浦島太郎がよろしいようで。
横浜市神奈川区浦島丘の横浜市立浦島小学校の校庭に「亀の子すべり台」がある。
「浦島」という地名に「浦島」という名の小学校があり、「亀」の遊具がある。共通項はもちろん浦島太郎である。浦島伝説が丹後や讃岐にあることは知っていたが、横浜にも伝わっていたとは。このことは、横浜市歴史博物館の2005年特別展『よこはまの浦島太郎』で知った。
古代に丹後半島で発生した浦島子の物語は、中世の御伽草子として完成し、近世に草双紙として出版され、近代に国語教科書の題材として唱歌として子どもたちに親しまれた。浦島小学校の「亀の子すべり台」は、かわいいすべり台で子どもたちは喜ぶだろうね、にはとどまらず、昭和7年築造の文化財的な価値がある教育遺産である。特別展の図録には次のように解説されている。
浦島尋常高等小学校の第四代校長・平戸喜太郎氏が、地域教育の一環として浦島の伝説をしらべた上で、子ども達が作った粘土細工をもとに造らせた滑り台。上級生が土台を作り下級生が浦島台からもっこで土を運んだという。形が出来上がった後、セメントを流し込んで乾かし、一年以上をかけて現在の形になった。この滑り台の完成は当時の雑誌『少年クラブ』にもとりあげられたという。今も校庭の隅に鎮座して休み時間ごとに子ども達の歓声が響いている。
なんと素晴らしいことか。総合的な学習の時間が昭和初年にすでに始まっていたのだろうか。うちの子どもも浦島尋常高等小学校へ通わせたかった。地域の特色を調べ、それをモニュメントとして造り上げ、数十年にわたって活用している。このすべり台で遊ぶ子らは時間を忘れて遊び続けることだろう。これもウラシマ効果と呼んでよいのではなかろうか。
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