今年も甲子園出場をかけて球児の熱い戦いが繰り広げられる。北海道と沖縄ではすでに地方予選が始まっている。広島は29日が組み合わせ抽選会だそうだ。93チームの頂点に立つのはどこなのか。広島工業の2年連続か広陵高校の春夏連続か。甲子園では広島の応援団がしゃもじを打ち鳴らして応援してくれるだろう。
廿日市市宮島町中之町に「宮島の大杓子(おおしゃくし)」がある。これはでかい。長さ7.7メートル、重さ2.5トンで世界一だ。世界一と言っても杓子そのものがワールドワイドなものでない。しかし日本人なら必ず手にしたことがあるだけに、この杓子の大きさは驚愕だ。
昭和58年に制作されたのだが、その後、展示場所がなく14年間倉庫に眠っていたそうだ。材質はケヤキだそうだ。宮島の伝統工芸の横綱である。この宮島杓子の由来を説明板で読んでみよう。
江戸時代の寛政年間(一七八九~一八〇〇)に宮島の「時寺」に誓真という僧がおられ、ある夜、弁財天の夢を見、その手にされた琵琶の美しさを杓子にうつし、それを作ることを島の人に教えたことが始まりといわれています。
その後、技法の巧妙さ、形の優雅さ、更に使い易さで日本全国に宣伝され「宮島杓子」として広まりました。
現在では実用品としてだけでなく、めし取るすくいとることから幸運福運勝運をすくいとる祈願杓子としても縁起の良い物とされています。
「時寺」とは神泉寺のことで、今は廃寺となっている。誓真はこの寺の番僧(仏堂を守る当番の僧)で、杓子の製法を島民に教えただけでなく、下水の整備や井戸の掘削など、産業振興とインフラ整備によって地域振興に貢献した。「宮島の恩人」と呼ばれている。
これは「誓真釣井(せいしんつるい)」の一つである。宮島には5か所残っているという。
うちで使っているしゃもじは、プラスチック製でエンボス加工のご飯のまとわりつきにくい便利ものである。しかし、木の杓子を見ていると、素材の温もりとそれを作った人の温かさと先人の思いが伝わってくる。今年の夏もカチカチなるしゃもじの音を楽しむとしよう。
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