神南備山展望台は津山の市街地が一望できる絶景スポットである。かつては夜景スポットとして知られていたが、風紀上よろしくなかったためか、今は夕方には施錠されるようだ。まあ夜景もいいが、ここは眺望を楽しみたい。遠くは泉山(いずみがせん)、その手前に桝形城のある桝形山、そして近くに見えるは神楽尾城である。
展望台は神南備山の中腹にある。頂上まで登ってみよう。
津山市井口(いのくち)に「神南備山城跡」がある。見えるのは四等三角点「佐良山」、標高355.9mである。
ここは樹木のため眺望が利かない。それでも写真のような土塁に囲われた曲輪がある。それほど大きくないから城というより砦だろう。
文献にはどのように登場するのだろうか。『作陽誌』西作誌上巻苫南郡寺院部真言宗「医王山長雲寺」の項には、次のように記されている。
貞治末州郡多事兇賊将屠神楽尾城先陣久米神南山東漸寺在其中間遂一炬所爇堂塔院宇払地成墟
貞治年間(1362~68)の末にこの地方で騒ぎがあった。凶徒が神楽尾城をぶっつぶそうとした際に、久米郡の神南備山を先陣とした。東漸寺はその中間にあって、ついには堂塔がいっぺんに焼けてしまい廃絶してしまった。
南北朝の争いがここでもあったのだろうか。詳細は不明だが、神南備山城と神楽尾城が対峙したことは確かだろう。特に天正七年(1579)に毛利方の神楽尾城を宇喜多勢が奪取した際にも、何らかの役割を果たしたのではないだろうか。
眺望が利くといえば、神楽尾城から見る津山市街地も絶景だ。神南備とか神楽尾とか、名称がなかなか神々しい。まさに神さまの視点で風景を楽しむことのできる山なのだ。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。