ロサンゼルスにはリトル・トーキョーがあり、我が国には小京都がある。川越は小江戸と呼ばれ、石橋湛山の「小日本主義」が再評価されている。「大歩危小歩危」「大廻小廻山城(おおめぐりこめぐりさんじょう)」と、大きいものに対して小さなものがあるのが世の道理であり、日本人は小さきを好む傾向がある。
岡山市北区新庄上と総社市赤浜の境に「小造山古墳」がある。写真は上から前方部、後円部、周濠である。背後の丘陵から後円部を切り離した掘割が周濠となっているが、前方部の周辺には続いていない。
小造山古墳の南東には、あの巨大な造山古墳がある。小造山と大造山について、『吉備郡史』は次のように記述している。
小造山の古墳。前方後円式の標本的なもの難波彦左衛門氏所有地に在り。大造山の西北方五丁許の山上にありて南面し周囲に堤を繞らす。
東西長約五四間、堤外まで七四間、南北長約七八間、堤外までは九八間。後円部直径十四間 高六間許、前方部行二四間幅一四間 高五間許、周囲に埴輪の円筒(直径九寸五分)を繞らす。
南北の長さ、つまり墳長の七八間は約142m。このあたりでは造山古墳、作山古墳に次いで大きい。実際この順で築造され、系譜関係も推測されている。県内では7番目にランキングされる古墳ながら、文化財未指定である。未指定古墳としては県内1位を誇る。
大造山こと造山古墳は「『桃太郎伝説』の生まれたまち おかやま〜古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語〜」として日本遺産にもなっている。作山古墳も同じだ。しかし、小造山は一顧だにされていない。
あまりにも寂しいではないか。ここは「大造山小造山」とセットにして、「大歩危小歩危」のように売り出すことはできないだろうか。
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