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われても末にまた遇う日まで

府中市上下町上下の街中をバスが走る。国道432号を上下駅前に向かう中国バスである。おそらく道の駅びんご府中から来たのだろう。何でもないような風景に見えるが、我が国を二分する重要な場所を通過しようとしている。太平洋側から日本海側へバスは行く。ここは中央分水界なのだ。

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その重要な情報は、府中市監理課地籍調査係の建物の前に示されている。

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ここは日本列島の背骨
分水嶺地点です
瀬戸内海へ←芦田川 上下町上下 江の川→日本海へ
標高386m

分水嶺というが、嶺と呼ぶほどの高まりはない。しかし、国道に直交するように両側の山を結んだ線が分水界である。この地に降った雨は、南の瀬戸内海へ上るのか、北の日本海へ下るのか、それとも途中で蒸発するのか。とにかく、上下の上下たる所以がここにある。

帰りは神石高原から国道182号に抜けるため、広島県道27号吉舎油木線を走った。

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府中市上下町二森(ふたもり)に「分水嶺」の石碑がある。

石碑には次のように刻まれている。

日本海←分水嶺→瀬戸内海
上下町ふるさとづくり事業

ここは「嶺」に相応しい峠である。分水界はここでも道路と直交し、西側が日本海側、東側が瀬戸内海(太平洋)側となる。峠に落ちた雨粒が東西に分かれて流れゆく。われても末に逢はむとぞ思ふとでも思っているのだろうか。岩にせかるる滝川にあらざれば、逢瀬が訪れることはない。ただし海まで行けば、いつかどこかで遇うこともあるだろう。世界の海は一つなのだから。


2023/02/01

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