木曽義仲をして「一騎当千のつわもの」と言わしめた男,妹尾(瀬尾)太郎兼康の話をしたい。義仲と戦い,一度は捕虜となるも逃亡して,さらに奮戦,最後は覚悟の討死をした平家方の武将である。
その様子は『平家物語』巻第八「瀬尾最期」に詳しく描かれている。この場面は次のように締めくくられる。〈引用元は岩波文庫版〉
是等主従三人が頸をば、備中国鷺が森にぞかけたりける。木曾殿是を見給ひて「あッぱれ剛の者かな。是をこそ一人当千の兵とも言ふべけれ。あッたら者どもを助けてみで」とぞのたまひける。
総社市上林の山本神社の裏手に鷺の森公園がある。
開けてきているものの森の名残りが感じられる。妹尾太郎兼康の首が掛けられた「備中国鷺が森」の遺称地だという。
近くに太郎荒神と呼ばれる小さな祠もある。
妹尾兼康は,湛井十二箇郷用水を造った農業の恩人でもあった。この祠には,鎮魂だけでなく兼康への感謝の気持ちも込められているのだろう。
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