大阪城の石垣と堀の大きさは,そのまま権力の大きさである。中でも第一の巨石とされているのが「蛸石」(たこいし)だ。36畳敷で130tと言われている。
この巨石がある桜門枡形は,寛永元年に岡山藩主・池田忠雄が担当したもので,備前産の良質花崗岩が用いられているということだ。
その産地は,犬島(岡山市)とするのが普通であり,実際に大阪城の石垣修理に使用されてきた。ところが,『吉備の伝説』(土井卓治編著)では別の説が紹介されている。
岡山市山田の高尾(たこう)宮山の丘に,直立してそびえる大岩があった。これを烏帽子岩といい,雄大な姿は長年地元の人々に親しまれてきた。「しゃんと位を高尾(たこう)にかまえ 操かわらぬ烏帽子岩」とうたわれた。
大阪城の正面をかざる大手門のところに,タコイシという大きな石があるのは,この岩の片割れで,タコイシというのは高尾石のなまったものである。
高尾の烏帽子岩を今はもう目にすることができない。昭和二十一年に石切の爆破作業でころげ落ちてしまったという。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。