昔住んだ場所に久しぶりに帰ってみると,懐かしさとともに変貌にも驚かされる。新しかったものがずいぶん古くなっており,改めて歳月の経ったことを感じさせられる。
倉敷市曽原に鎮座する清田八幡神社には「西行法師腰掛岩」がある。また,最近つくられた法師の石像の優しいお顔が参拝者を迎える。この神社は「吉備乃児島一嶋総鎮守」だそうだ。
西行法師はかつて修行で児島のとある八幡宮に籠ったことがあった。久しぶりに同じ場所を訪れたことが『山家集』に綴られている。
西国へ修行してまかりける折、児島と申す所に、八幡の斎はれ給ひたりけるに、籠りたりけり。年経てまたその社を見けるに、松どもの古木になりたりけるを見て
昔見し 松は老木に なりにけり
わが年経たる ほども知られて
久しぶりに訪れた場所で,松の木と自分との変化を重ね合わせ,深い感慨を抱いたのだろう。ただし,法師の訪れた八幡宮には別説がある。これについては次回紹介することにしよう。
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