平成21年は丑年である。テレビや新聞で牛を話題にしているようだから,このブログも追随したい。多くの場合は,牛を可愛らしく取り上げるのだが,本日紹介するのは牛鬼である。
瀬戸内市牛窓町牛窓亀山に「牛窓神社(八幡宮)」が鎮座する。
主祭神を神功皇后とする神階従三位の旧県社である。宮司様は「さて,皆さん今年は十二年の一回の巡り合わせの丑歳です。牛窓神社ゆかりの丑歳の初詣では特に大きな御守護が頂けるかと存じます。」と「牛窓神社だより」第14号で御挨拶なされている。
牛と牛窓にはどのような関係があるのだろうか。林羅山の『本朝神社考』で紹介されている備前国風土記逸文に次のような話がある。
神功皇后のみ舟,備前の海上を過ぎたまひし時,大きなる牛あり,出でてみ舟を覆さむとしき。
住吉の明神,老翁と化りて,其の角を以ちて投げ倒したまひき。
故に其の處を名づけて牛轉(うしまろび)と曰ひき。
今,牛窓と云ふは訛まれるなり。
さらに,牛鬼の死骸は骸(むくろ)島となり,それが現在では黒島と呼ばれているということだ。
研究者によると,先に引用した逸文は「古代の風土記とは認め難い」(秋本吉郎)とのことであるが,そう信じ,それを誇りに思ってきた人がいることは事実だ。私たちも伝説の世界に浸って楽しみたい。
元旦の朝日新聞に興味深い特集記事があった。昭和47年7月21日に放映された「ウルトラマンA」第16話「怪談・牛神男」に「牛神超獣カウラ」が登場した。牛窓では住民が逃げるシーンが撮影され,カウラも伝説の牛鬼と同じように投げ飛ばされて退治されたという。伝説は今も昔もヒーローと悪者の戦場である。
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