震災や戦災を除いて世界史上最大の火災は明暦の大火,世にいう振袖火事である。江戸市中のみならず江戸城天守までも焼失し,死者は10万8千人と言われる。振袖を手にした娘が次から次へと亡くなるという因縁話もその恐ろしさを増幅している。
豊島区巣鴨5丁目の本妙寺に「明暦の大火供養塔」(写真右)がある。
時は明暦三年(1657)正月十八日未の刻(午後2時)。本妙寺から上がった火の手は折からの強風に煽られてたちまち燃え広がり,二日間にわたって燃え続けた。
火元とされる本妙寺は,隣家である名老中・阿部忠秋の屋敷から出火したと主張している。証拠として,本妙寺に対して何らのお咎めもなかったこと,阿部家から長年に渡って供養料が納められていたことを挙げている。
どこが火元であろうと今さら責任を問うつもりはない。写真左の石塔は安政地震の供養塔である。大災害が繰り返されてきた江戸・東京の地。犠牲者の鎮魂を祈り続けている本妙寺に感謝するばかりである。
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