面白いネーミングだ。どっこいしょと腰掛けて眺めてみた。ビール瓶6本かと思えば,顔が刻まれている。これは六地蔵なのだ。素朴な石仏は各地におわすが,これはとりわけのほほんとしている。
三木市志染町窟屋に「どっこいさん」がある。横穴式円墳の天井か蓋石を活用した六地蔵で,上部にも35の小座像が刻まれている。
右肩には宝暦五年二月十六日の銘がある。この年から貞享暦に替えて宝暦暦が採用された。しかし内容的には不具合の多い暦だったらしい。暦は正確なほうがよいが,石仏はむしろ稚拙なほうが味がある。
どっこいさんは近年の道路拡張に伴い現在地に移転してきた。大切なこの石は古墳築造,石仏への利用,史跡公園化と少なくとも三度は動かされた。どっこいしょ!の掛け声がその度に発せられたに違いない。
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