以前に「石棺の転用」と題して橋として利用されていた石棺の蓋の話をした。今度はテーブルとして利用されていたケースの紹介である。
姫路市太市中の太市中墓地に今は使われなくなった引導台がある。
被写体とはしていないが周囲には墓石がたくさん並んでいる。このテーブルとは何か。姫路市教育委員会の文化財見学シリーズ21「『太市の里』をたずねて」の紹介文を引用しよう。
公営の火葬場ができて、昔のような野辺送りもなくなった。墓地には葬式の時に棺をのせ導師が送り引導を唱える引導台(蓮華台・棺台)があり、かっての葬送習俗をうかがうことができる。引導台は一部欠失しているが、組合式家形石棺の底石(縦171.1cm、横120cm)である。
野辺送りの引導台といってもよく分からないが、火葬場でも最後に棺の前で読経をする。そのイメージなのだろうか。そういえば、母の実家の古い墓地に同じような台があった。ベンチか荷物置きくらいにしか意識していなかったが、そういうことだったのか。
ここは太市中古墳群。石材は手に入りやすい。それにしても、遺体を入れていたものが時代を越えても再び遺体を乗せている。これぞ正しい使途というべきか。もう二度と遺体を乗せることのないこの石。感謝の言葉で供養したい。
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