年末には年越しそばを食べたが、香川県では「年明けうどん」を食べる。元旦に道の駅「滝宮」の綾川町うどん会館で、餡入り餅の入った年明けうどんをいただいた。餅は赤色、うどんの白色とで紅白となる。見栄えも縁起も良い、おいしい料理となっている。
香川県綾歌郡綾川町滝宮の滝宮天満宮の隣に「龍燈院跡」という石碑がある。
うどん消費量全国一の香川県の中でも「うどん発祥の地」を名乗っているのが、ここ滝宮である。うどん会館があるくらいだから、かなり力が入っているのは分かるが、発祥の地を標榜するには理由があるはずだ。写真の石碑の手前に説明板があるので読んでみよう。
滝宮天満宮の前身とも言われる瀧宮龍燈院(うどん)発祥の地は、空海が甥智泉大徳(空海十大弟子の一人)が初代住職となり空海が遣唐使として唐に渡り習いし「うどん」を智泉に教え智泉は官吏として滝宮に住まいし病身な父(菅原氏―道真が一族)母(佐伯氏―空海が姉)に食してもらったのが「うどん」発祥の地と言われる由縁です。
空海の姉を智縁尼といい、この地の菅原氏に嫁して智泉大徳をもうけた。智泉は空海に師事する中で「うどん」なるものを習得し、郷里に帰って父母に食べさせたというわけだ。大同年間(9世紀初め)のことだという。
うどん発祥の地はもう一つある。福岡市の博多、承天寺に「饂飩蕎麦発祥之地」と刻まれた石碑が立つ。仁治二年(1241)に聖一国師が宋から麺類の製法、製粉技術を持ち帰ったのが始まりだという。
博多説には説得力があるが、滝宮説には情に訴えるものを感じる。滝宮では現に粉食文化が大いに栄えている。元旦から順番待ちの大繁盛である。道の駅では、うどんアイスやらうどん県グッズやら、本気な方には、手打ちうどん用小麦粉まで、うどん文化満載のショッピングを楽しむことができる。
「うどん県、それだけじゃない香川県」というキャッチフレーズも実に見事だ。特産品を前面に出したイメージ戦略は、ビジネスモデルの成功例といえよう。空海とその弟子智泉大徳の両師に感謝である。
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