「出口のないトンネルはない」
この言葉にどれほど勇気づけられたであろうか。恋愛やら仕事やらで人間関係がドツボにはまったとき、失敗やら不運やらが続いてまったく自信を失ったとき、一寸先が闇になった経験は誰にもあろう。手探りで進む道は、もしかすると壁に突き当たるのではないか、不安は尽きることがない。
人生に長くて暗いトンネルはあるでしょう。むしろ至る所にあるものです。けれども、もう一度思い出してください、この言葉を。「出口のないトンネルはない」
呉市川尻町西二丁目のJR呉線の安芸川尻駅の近くに「川尻トンネル」がある。全長8.7m。「日本一短いトンネル」である。
トンネル部分と県道「さざなみスカイライン」の跨線橋が一体化しているので、少々長く見える。車道ではなく、幅の広い歩道の部分がトンネルである。
このトンネルが日本一の座に就いたのは平成26年9月24日。それまではJR吾妻線にあった「樽沢トンネル」7.2mだった。民主党の「コンクリートから人へ」の象徴だった八ッ場ダム建設に伴う新線付け替えで廃止になった。
人生のトンネルもこれくらい短いとよい。トンネルだと気付かないくらいだ。いや、このくらいの短いトンネルをたくさんくぐり抜けていることに気付く感性が大事ではないか。
「幸福なのは義務なんです」という歌詞をボカロが歌っているが、本当にそのとおりだと思う。裏返して言えば、義務と言わねばならないほど不幸は身近にあるということだ。
短いトンネルを抜けた喜びを積み重ね、長いトンネルに耐えられる自信をつけたいものだ。この時空のどこかで、長いトンネルは間口を広げて待っているだろう。それでもやはり、出口のないトンネルはないのです。
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