「三浦」は名字としても地名としても有名で、友達に三浦くんがいたし殿様にも三浦氏がいた。その三浦氏の本貫地が三浦半島である。神奈川県三浦市、金沢市三浦町、白山市三浦町、佐世保市三浦町もある。それほど珍しいわけではないが、全国に「三浦駅」は一つしかない。
津山市三浦にJR因美線の「三浦駅」がある。
狭いホームに待合所があるだけの無人駅だ。次の汽車まで1時間くらいあるから誰もいない。
駅構内に「三浦駅建設記念碑」がある。「一致団結大願成就」と刻まれている。心から喜んでいる様子が分かる。裏面の碑文を読んでみよう。
昭和三年因美線の開通以来町内一致団結以而関係方面に長期間請願愈々昭和三十八年四月大願成就し当三浦駅は開通した此の歓びを記念して茲に記念碑を建て後世に伝える
昭和四十一年十月 三浦町内会一同建之
「駅近に住みたい!」という願望はいつの世も変わらない。目の前に線路があるのに駅がないなんて。備前市ではかつて新幹線新駅誘致運動が盛り上がったが、いつの間にか消え去った。ところが三浦地区では35年間にわたって請願を続け、新駅設置を実現した。記念碑に込められた熱い思いがよく分かる。
三浦駅は美作滝尾駅と美作加茂駅の間にある。昭和3年の因美線開業時に滝尾駅と加茂駅が存在していたため、前後の駅は旧国名を冠することとなった。ところが三浦駅は昭和38年なのに同名の駅がなかった。さらに、この三浦という地名そのものも新しいという。『角川日本地名大辞典33岡山県』で調べてみよう。
昭和29年~現在の津山市の大字名。もとは滝尾村津川原。地名は地内にある三浦神社に由来する。昭和38年国鉄因美線三浦駅が設置された。
滝尾村が津山市に編入される際に津川原を三浦と改めた。そして新駅設置の請願が続けられ三浦駅が置かれた。今も平日上下7本ずつの汽車が停車する。春には桜が駅を彩るそうだ。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。