山の頂上は尖っているという一般的なイメージを覆してくれるのが、平頂峰(キャップロック)である。キャプスロックと似ているが関係ない。有名な山では美ヶ原が平頂峰だそうだ。今日は天気がいいので、岡山県を代表する平頂峰と奇岩巡りに出かけよう。
津山市阿波(あば)に「大ヶ山(だいがせん)」という平頂峰がある。確かに平らだ。遠くに見えるのは大ヶ山スカイ愛ランド・アマチュア無線基地である。車道の終点から尾根伝いに降りていくと奇岩探訪コースとなる。「大ヶ山南斜面回遊登山道」として整備されているようだ。
津山市加茂町倉見と加茂町知和の境に「三ッ岩」がある。
不思議でも何でもない岩だが、立ち去りがたい魅力を発する岩だ。だが、先は長い。尾根伝いにどんどん進んでいこう。
ピークを越えて急斜面を少し下りると「笠岩」がある。
笠を被った巨人のように見える。動き出したら怖いから、来た道を引き返そう。途中に尾根の西側を縦走するコースが分岐しているから、そちらに足を踏み入れる。
しばらく進むと「鬼の門」がある。地名は津山市加茂町倉見になるだろう。
なんとも不思議な造形だ。どのようにして、いつできたのだろうか。大ヶ山全般については、角川書店『岡山県地名大辞典』「大ヶ山」の項に、次のように記されている。
中生代後期の花崗岩類の基盤岩上に新第三紀鮮新世の玄武岩類が流出して形成された溶岩台地で、山頂部一帯は起伏の極めて小さい高原をなす。(中略)山頂部に近い花崗岩類の露頭には方状節理の発達した巨石が散在、三ッ岩・鬼の門・樽岩などの名称がある。(中略)別名を台ヶ山ともいうが、山頂平坦面に起因するものとも考えられる。
三ッ岩と鬼の門は紹介した。樽岩はどこにあるのだろうか。水の流れる音がするらしい。奇岩の形状は花崗岩の摂理と風化によるものだ。花崗岩は中生代後期というから恐竜がいた頃に形成され、その上を覆う玄武岩は新第三紀鮮新世、つまり人類出現の頃に流れ出たのだろう。三国山を中心に鳥取県中部から岡山県北部に分布する火山岩類の南端に位置するように見える。
1年でさえ長く感じるのに、何百年どころか何百万年かかった造形美である。ちまちましたことで思い悩まずに、悠久の自然に身を委ねるのがよいだろう。動かぬ大地でさえ動くのだから、閉塞感に満ちた状況もきっと変わっていくに違いない。
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