昨年に復元された青谷弥生人は、今年になって「青谷上寺朗(あおやかみじろう)」と名付けられ、そっくりさんグランプリまで開催された。上寺朗くんはそのへんのおニイちゃんの顔をしている。もちろん発掘された頭蓋骨に肉付けしたものだが、その頭蓋骨からは脳が見つかっているそうだ。脳も復元できたなら、上寺朗くんは何を思うだろうか。
鳥取市青谷町青谷に国指定史跡の「青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡」がある。
この遺跡は山陰自動車道建設に伴う発掘調査で発見された。2000年に大量の人骨が出土し、そのうち3体の頭蓋骨から脳が見つかったことが翌年4月に明らかにされた。数ある弥生遺跡の中では、まことに稀有な例である。一番手前の説明板には、次のように記されている。
青谷上寺地遺跡は、弥生時代前期の終わり頃(2,300年前)~古墳時代前期(1,700年前)を中心に栄えたたムラの跡です。多種多様な出土品が良好な保存状態で見つかったことから「地下の弥生博物館」とも呼ばれています。
脳の残存も含め出土品が良好な保存状態だったのは、低湿地の泥中で真空パックされていたからだ。青谷弥生人はラグーン(潟湖)のほとりで暮らしていたらしい。上の写真の方面からは「祈りの場」「大規模な水路」が発見されている。後ろを振り返ってみよう。
「弥生の土木工事」「弥生人骨と日本最古の脳」が見つかったのは、こちらの方面だ。山の手前、青谷ICのあたりにはラグーンが広がっていた。興味深いことに現代の山陰道の工事をしていたら、古代の山陰道も見つかったそうだ。
傾斜の緩やかな場所をつないでいくと、どう考えてもここしかない、というルートになるのだろう。写真奥の山裾にある青谷横木遺跡からは柳の街路樹が見つかったという。風になびく柳の枝が旅情を高めてくれたことであろう。
このあたりは史跡公園として整備が進められている。令和5年秋にプレオープン、11年にグランドオープン予定だという。案内を務めるのは、やはり青谷上寺朗くんだろう。
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