滝の名としてはポピュラーな不動滝。その由来については「なぜ不動滝という滝名が多いのか」で紹介した。本日は養父市大屋町の滝を紹介するが、大屋町と言えば「天滝」である。道路脇に設置された説明板によると、そこまで大きな滝ではないらしい。行ってみることにしよう。
養父市大屋町若杉の若杉川に「若杉不動滝」がある。
岩の裂け目から滑るように流れ落ちる滝の姿は立体感があり、調和のとれた陰影が美しい。深い青色をした滝壺が魅力的で、滝見の人はしばし佇むことになるだろう。説明板にはこう書いてあった。
不動滝
所在地 大屋町若杉
所有者 大屋町若杉区
指定年月日 昭和46年1月26日 町指定
標高1,140mの藤無(ふじなし)山よリ流れ出る水をうけて、大きな岩の割れ目から約13mの滝となって深淵に落ち込んでいる。高地の滝にしては水量が多く太い滝である。その滝音は周囲のしずけさを破り大気をゆるがしている。下より仰ぎ見るとき、景観というよりも人を寄せつけない神秘ささえ感じる。不動の滝の名も、このあたりからきている。
どうやら不動明王は関係なさそうだ。道路から川沿いに少し進むだけで、これほどの滝見ができるのだからお得感がある。この若杉川は北上して大屋川に合流し、天滝の水を合わせ円山川へ注ぎ、日本海に達する。
不動滝説明板の置かれた道を西に進めば、すぐに若杉峠の急坂となる。峠は播磨と但馬の国境であり、中央分水界でもある。日本海側最深部に位置する不動滝。峠を越えてきた人は、しばし滝を見て休んだのかもしれない。神秘的な美しさに動けなかったことだろう。
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