人は大きな岩に霊力を感じる。その岩にのみの跡でも残っていようものなら,想像力はなおさら掻き立てられる。そして人は伝説として語り継いでゆく。
三豊市詫間町香田に「三四郎岩」という巨石がある。
秀吉の大阪城築城の際に砕石されたものといわれ,のみの跡が残っている。この岩の名前の由来はこうだ。
豊後から来た石工,三四郎は巨石の運搬中に誤ってその下敷きになり即死した。村人はこの巨石を三四郎岩と呼び,傍らに祠を建ててその霊を祀った。
第二次大戦時,この地に海軍航空隊の基地が建設される時,この石が邪魔になって取り除こうとした。当時の機械では持ち上げることができず,石を砕くことになった。ところが,その作業中に石の破片により一人の石工が死傷したので取り除きは中止になったという。
さらに戦後,大工が祠を修理する際に,三四郎岩の上に落葉がたくさんあったので,きれいに取り除いて掃除した。その夜,大工は腹痛に苦しむこととなり,妻が祈祷師に拝んでもらったところ,「落葉は私の着物だから,その着物を取り除かれたので怒ったのだ」という岩の気持ちが分かった。早速,妻は落葉を元のようにしたところ腹痛が治まったという。
げに,不思議な岩の伝説である。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。