(財)日本サッカー協会公認の「サッカーお守り」がある。青地にJFAのエンブレム,その図柄はおなじみ三本足のヤタガラスである。神話に登場する伝説の鳥,大人気のスポーツ・サッカー,お守りとして授与する神社…復古的なようで現代的なような,この不思議な関係は昭和6年6月の協会旗章の制定に遡るらしい。このお守りはずいぶん前から売られているようだが,私が知ったのが最近だった。
大阪市此花区伝法2丁目に「本宮 鴉宮(からすのみや)」が鎮座する。石碑の「瑞烏導帥」からも,神武天皇を導いたという霊鳥「八咫烏(やたがらす)」に縁があることがわかる。もちろんサッカーお守りも置いてあった。
創建は順徳天皇の建保3年4月25日で,傳母(伝法)村の中心に傳母頭(もりす)神社として御鎮座された。時代は降って文禄元年2月20日,豊臣秀吉が命じた朝鮮への出陣に際して社殿奥の森から八咫烏が出現して船団を守護したという。翌年正月17日,全軍が凱旋したことを秀吉自ら神前に報告し,神社号から宮号への昇格(つまり鴉宮への改称)及び八咫烏が出現した鴉の巣のある森への遷座を行うとともに,十六菊御紋を賜与した。
神社前の正蓮寺川に「森巣橋」が架かる。時代はさらに降って幕末,文久3年に備前藩によって架橋された。「もりす」の古名を伝えるために命名されたということだ。
橋はあれども川がない。将来,阪神高速が通るらしい。川が高速道路となり,霊鳥はサッカーのシンボルとなった。めぐる,めぐるよ,時代はめぐる。これが歴史というものなのだ。
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