史跡巡りの楽しみは、史跡を見つけた時の喜びである。事前に調べて当たりをつけてから行くので見つかるはずではあるが、あぁこれか、と目の前にすると感慨はひとしおである。今日も法隆寺領播磨国鵤荘(いかるがのしょう)の境界を示した牓示石(ぼうじいし)を2つ紹介する。荘園の南縁に位置するものだ。
姫路市勝原区大谷に「大谷の投げ石」がある。
投げたのは聖徳太子だとされている。アパートの軒先に投げ込むとはあまりにも危険、ではなくて、アパートを建築した際に庭石風に取り込んだものだ。それだけに見つけにくい史跡である。
兵庫県揖保郡太子町矢田部に県指定文化財「鵤荘牓示石」のうち「矢田部牓示石」がある。
これまで紹介した牓示石の中では、最も丁重に保存されている。厨子に納められ「聖徳太子御遺跡」として信仰の対象とされてきた。太子信仰の様態がよく分かる史跡である。
南北朝期作成の「播磨国鵤荘絵図」には12ヶ所の牓示が示されているが、11ヶ所の牓示石が現在に伝わり、4ヶ所が県指定文化財とされている。本特集では計8基の牓示石を紹介した。神様扱いされているもの、地中に埋もれているものと様々だが、中世荘園の遺物として全国的にも貴重な文化財である。
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