むかし、名字のトリビアを紹介した本を読んで、「小鳥遊」と書いて「たかなし」と読む珍しい姓があることを知った。鷹がいないから小鳥が遊べるというわけだが、今日紹介する話はその逆である。
川越市小仙波町一丁目の「喜多院鐘楼門」は国指定重要文化財である。
鐘楼には日光東照宮を思わせる美しい彫刻がある。この彫刻には次のような伝説がある。新井博『川越の民話と伝説』(有峰書店新社)から引用しよう。
喜多院の山門を入った左に、朱塗りの鐘楼門がある。慈限堂の山門だといわれており、朱塗りのところから、赤門とも通称されている。
この門には、前面に竜、背面に鷹の彫刻が二個ずつはめ込んである。飛騨の名工左甚五郎の作と伝えられ、あまりにできばえが見事なので境内の鳩は恐れをなしたのか、この山門にだけは全然寄り付かないという。
最近は鳩の糞害を防ぐために建造物にネットや剣山をつけることが多いが景観としてはよくない。ここは左甚五郎の知恵に学ぶべきところだろう。
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