水の豊富な日本であっても、やはり水は貴重だ。飲み水となって命をつなぎ、水田に引かれて稲を育て、風呂に沸かされて体を温めてくれる。さらには、心も清めてくれるのだ。水の湧くところ、それはパワースポットなのだ。
板橋区赤塚八丁目に「赤塚不動の滝」がある。
何か伝説がありそうな雰囲気が漂っている。板橋区教育委員会『いたばしの昔ばなし』所収の「一、おとこ榎とおんな榎と不動滝」を読んでみよう。下赤塚村の鎮守、諏訪神社に男榎があり、上赤塚村の鎮守、氷川神社には女榎がある。
このように、下赤塚村と上赤塚村にはそれぞれ一本ずつ男榎と女榎がありますが、それはそれは昔のお話です。この男榎と女榎がある日のこと、谷津田の高台でお会いして、いろいろと物語りを始めました。すると、ふたりの間の足もとから水がちょろちょろと流れ出し、やがて崖を流れ落ちて滝となりました。これが今の「不動滝」だと言われています。滝ができてから後のことですが、赤塚城址二の丸には妙見さまがまつられております。その妙見さまのお使いは白い蛇で、毎晩のように、この滝つぼに水呑みに通って来たそうです。しかし、その姿を見かけたひとはあまりありませんでした。村人たちは、この滝をとても大事にして、富士山や御嶽山などに登山する人、または村の神事の年番の人は、かならずこの滝の水を浴びて、からだを清めたことでした。
不動の滝は、どんな日照りの年でもかれることなく、今でもさわやかな音を立てて流れ続けています。
水量は少ないものの確かに水が湧いている。東京の名湧水57選(平成15年、東京都選定)に選定されている。57という半端な数字が選定した東京都当局の誠実さを表している。不動の滝で心身を清め、近くの東京大仏にお参りすれば、パワー全開になること間違いなしだ。
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