自治体が制定している「花」は美しいものばかりだ。大阪市はサクラとパンジーに加えて区ごとに花が制定されている。例えば、此花区はサクラとチューリップ、港区はヒマワリとサクラと明るいイメージづくりに役立っている。
大阪市平野区瓜破に「区民わた畑」がある。公共の畑としてはちょっと珍しい作物だが、平野区の花が「ワタ」であることによるものだ。
綿で花と書けば白い綿花だが、あれは当然花ではない。訪れたのは9月初めで花も実も見かけなかった。だが、もう少し早い時期なら黄色が鮮やかな花が咲いていたのだろう。写真の「河内綿」は日本の在来種で、アメリカ綿とは異なるそうだ。
平野区のワタは、美しさだけでなく歴史をも語ることのできる優れた区花なのだ。昭和61年7月に制定された。平野区とワタとのつながりを、大阪市平野区役所のウェブサイトは次のように説明している。
江戸時代、平野の代表的産業は繰綿(くりわた)と綿作で、綿の集散地としても栄え、明治時代には綿業の町に発展した歴史があります。美しい花が咲き、実を結び、そして白い柔らかい綿が生まれます。花のあとの実益ある実には、平野区の繁栄の願いが込められています。
全国的にも河内木綿は三河木綿と並んで有名であった。『世界大百科事典』(平凡社)の「河内木綿」の項には次のような記事がある。
河内木綿の優秀さは次のように評せられた。〈河内木綿はきれいで,糸太く地の厚いのを名物とした。地の細い上品の木綿や縞木綿などを織り出すこともあるが,地太の丈夫なことを特色とした。諸国で用いられる暖覧(のれん),湯単(油単)は河内木綿に限る〉(大蔵永常《広益国産考》)。
忘れがちなことだが、綿の肌触りは最高だ。外に干して十分に乾いたシャツを着た時の、あの太陽の香りがたまらない。顔を洗ってタオルで顔を拭いたサッパリ感もたまらない。綿作りの発展に貢献した河内の先人に感謝を申し上げます。
それから、あと9でブログ開設以来3万アクセスとなる。これも皆様のおかげと感謝申し上げます。
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