前方後円墳は、その優れたデザイン性ゆえに、現在、様々な方面に展開している。なかでも秀逸な事例は、『古墳ギャルのコフィー』というシュールなアニメである。ニントク君に憧れる都立古墳高校の古墳ギャル(コギャル)の物語だ。その姿形はもちろん前方後円墳である。
さらに調べると、和泉市の和泉黄金塚古墳には、「和泉 こがね」という前方後円墳を背負った幼稚園児のようなキャラクターがあることが分かった。他にも各地で、ライスが前方後円墳のカレーだとか、前方後円墳のまくらが古墳女子に人気だとか、何でもありの状況である。
たつの市揖保川町(いぼがわちょう)養久(やく)と二塚(ふたつか)の境あたりに、前方後円墳の「養久山古墳墓群1号墳」がある。写真は後円部に立って前方部を撮影している。後円部の大きさに比べると、前方部はスリムに見える。
養久山には尾根に沿ってたくさんの古墳があり、遊歩道が整備されている。それほど勾配がないので気持ちの良い散策ができる。さすがに古墳女子には出会わなかった。
この古墳の価値については、旧揖保川町教育委員会作成のリーフレット「揖保川町の文化財」に教えてもらうとしよう。
養久山の尾根上一帯に弥生時代末から古墳時代初め(3世紀末~4世紀初)の墳丘墓や古墳が40数基確認されている。とくに1号墳は全長32mの前方後円墳で鏡や鉄剣・玉類などが出土した。古墳の起源と系統をめぐり学界で注目された貴重な墳墓であり、県の史跡に指定されている。
なるほど、あの箸墓古墳が出現してから間もない時代の貴重な史跡だと分かる。1号墳と同じ頃には、播磨西部で多くの前方後円墳が造られている。瓢塚古墳もその一つである。
養久山1号墳や瓢塚古墳は、箸墓古墳と同じ設計図を使っているとも考えられるそうで、いずれも前方部が美しいバチ形をしている。西播磨の勢力が大和王権の成立に大きく寄与している可能性が推測できる。
その養久山1号墳をモチーフにキャラクターを作るとすれば、その名は「やっくん」だろう。揖保川町特産の淡口醤油の容器を前方後円墳にして、「やっくん醤油」として古墳ブームにのっかってはどうだろうか。少々安易な発想で申し訳ない。
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