年末年始スペシャル第三弾は、初詣にちなんで神社のリポートをお送りします。
「日本一」の神社とはどこだろうか。参拝者数では明治神宮、鳥居の高さなら熊野本宮大社、同じ鳥居でも木造なら厳島神社、日本最古の神社建築は宇治上神社だ。では、日本一高い神社建築はどこにある?
静岡市葵区宮ケ崎町の静岡浅間(せんげん)神社に「大拝殿」という建造物がある。
静岡浅間神社は神部(かんべ)神社、浅間(あさま)神社、大歳御祖(おおとしみおや)神社という三社の総称である。このうち神部神社と浅間神社の二社を大拝殿から拝むことができる。
神部神社は第10代崇神天皇の御代に鎮座したという古社である。崇神天皇と聞いてもピンとこないが、神社でいただいた由緒書を読むと「登呂遺跡の時代」だそうだ。
さて、改めて大拝殿に注目しよう。楼閣のある二階建ての建築で、あまり見かけたことのない。これを浅間造(せんげんづくり)と呼ぶ。その高さは25mである。ちなみに出雲大社の本殿は24mのため、それよりも高いということで、静岡浅間神社が日本一だという。
過去には出雲大社がもっともっと高かったと言われているが、ここでは触れない。
大拝殿は文化11年(1814)6月の竣工であるが、これがまだなかった貞享元年(1684)頃、福岡藩の儒者・貝原益軒が、江戸へ向かう途中に静岡浅間神社を訪れている。彼が記した『吾妻路之記』という紀行文を読んでみよう。
府中より江尻へ二里廿九町、浅間(せんげん)の社有。是は不二浅間の新宮なり。延喜年中富士本宮を爰に勧請す。東照神君御尊敬有し社なり。本社二所北にあり。卯に向ひ、摂社南に立、巳に向ふ。山の宮石壇百四級あり。同所南の山に穴有。そこしらずといふ。当社宮づくり美麗なる大社なり。日本にて神社の美麗なる事、日光を第一とし、浅間を第二とすと云。社領六百石つく。社官は新宮左近、惣社宮内とて両人あり。浅間の上の山を志豆機(しづはた)山と云。名所なり。
さすがは神君家康公の御膝元、昔から美しさは日光に次ぐほどだという。「東海の日光」と呼ばれるのも宜なるかなである。日本で二番目に美しい神社は、木造神社建築で日本一の高さを誇っている。
御利益は延命長寿、縁結び、除災招福、安産、子授け、婦徳円満と幅広い。私はぜひ延命長寿をお祈りしたい。何せ、登呂遺跡の時代から続いているのだから、効験あらたかに違いない。
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