「津山ホルモンうどん」「ひるぜん焼そば」は、岡山県を代表する全国区のB級グルメである。平成22年3月20日・21日、これらのB級グルメを食べに行く列車が運行され、ヘッドマークに「B級グルメ」の文字が掲げられた。そして翌年のB-1グランプリでついに、津山ホルモンうどんは2位、ひるぜん焼そばは1位を獲得したのである。
津山市大谷の津山まなびの鉄道館に「キハ58 563」が静態保存されている。写真は3月21日10:00岡山駅発の「おかやまB級グルメフェスタ号」である。「津山へ食べに、きんちゃい!」とあるように津山行きである。
肉食の習慣のなかった江戸時代に、彦根藩と津山藩だけは「養生喰い」として牛肉を食べていたというから、その伝統を受け継ぐ津山ホルモンうどんの味は折り紙付きだ。ホルモンの旨味と深みのあるタレをうどんがまとい、ジュージュー焼ける音さえジューシーである。
ひるぜん焼そばは昭和三十年代からの歴史で、濃厚な味噌だれとかむほどに旨い親鶏がそばとからみ合い、高原キャベツが脇を固める。あさぜん焼そば、よるぜん焼そばというメニューもあり、シャレにならないくらい美味いらしい。
この日、グルメ客を津山へ運んだ気動車キハ58 563は、この年の11月20日・21日のサヨナラ運行を最後に引退した。かつては、芸備線の急行「みよし」(平成19年廃止)として活躍するなど、昭和を象徴する急行形車両であった。「みよし」時代は白地に緑の線が入る軽快なデザインだった。
急行からの引退後は国鉄急行色に戻されてイベントで活躍していた。去りゆく昭和と平成のグルメ。新旧文化の交点を「おかやまB級グルメフェスタ号」は通過したのだ。昭和は遠くなりにけりと感慨にふけっていると、平成さえも終わりに近付いている。平成の象徴として懐古されるのは、いったいどの車両だろうか。
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