北朝鮮のミサイルも安倍首相の衆院解散も同じようなものだ。思い立った時にできる専権事項らしい。いよいよ衆議院選挙である。前々回の総選挙では、みんなだとか未来だとか小政党が乱立し、「どんぐりの背くらべ」で有権者が投票先を選ぶのに苦慮し、結果的に安倍自民の政権奪還となった。さて今回はどうなるだろうか。どんぐりならまだいいが、日本ファースト(改称予定)など、けし粒のようにしか見えない。
背くらべするのは「どんぐり」か「ちまきたべたべの兄さん」だけかと思ったら、なんと山が高さを競ったという話である。
鳥取県西伯郡大山町と米子市にまたがる「孝霊山(こうれいさん)」は「大山(だいせん)」と背比べした。右手前が「孝霊山」、左奥が「大山」である。
比べるまでもなく、高い低いは見た目通り決着がついているように思うが、次のような言い伝えがある。大山町宮内の仁王堂公園にある説明板より
高麗山と大山の背くらべ
高麗山は、別に「孝霊山」「カラ山」などの名で親しまれていますが、その名の由来については諸説あり定かではありません。
いつの頃からか、このあたりには高麗山は大山と背比べをするため海を隔てた朝鮮半島から運んできたといういいつたえがあります。
はるか昔、韓の国の神様が大山と背くらべをしようとこの山を大船に乗せて運んできたが、大山の方が高かったため、そのまま置いて帰ってしまったといういいつたえ、あるいは高麗山の方が高かったため、負けた大山が八つ当たりして頂上をけとばしてしまい、今の高麗山の姿になったといういいつたえなどいくつかちがった話が伝わっています。
話の内容はともかく、古代高句麗の名に似た山の名前からしても、このあたりは古くから朝鮮半島の先進文化と交流があったことを示すものと思われ興味がつきません。
びっくりしたバージョンと八つ当たりバージョンがあるようだ。「山の背くらべ」は珍しい話ではない。柳田国男『日本の伝説』には、大山を含め富士山や阿蘇山など、背くらべ伝説が多く収録されている。なかでも大山は、競った相手が朝鮮半島の山だという日韓対決がユニークだ。柳田は同書で次のように述べている。
負けることの嫌ひな者は、けっして山ばかりではありませんでした。全体に日本では、軽々しく人の優劣を説くのは悪いことゝしてありましたが、交通がだん/\開けて来ると、どうしてもさういふ評判をしなければならぬ場合が多く、それをまた大へんに気にする古風な考へが、神にも人間にも少くなかったやうであります。
現代日本と朝鮮半島二国との関係もそうだ。怒りにまかせてポンポンと核ミサイルを撃つとか、徴用工像を無節操に総領事館前に設置するとか、「対話による問題解決の試みは無に帰した」と首相が国連総会で演説するとか、不毛な挑発はやめて、ほのぼのした民話を共有し「争いは山だけにしとこうね」と確認することが、関係修復の一歩なのではないだろうか。
まっきーさま
本記事をお目に留めていただき、ありがとうござます。
ずいぶん前に書いた記事ですが、写真も含めて、ご自由にお使いいただいて大丈夫です。
投稿情報: 玉山 | 2021/09/01 20:05
この古代の日韓背比べ、特に「腹を立てた大山が高麗山を蹴飛ばして・・・」の部分と高霊山と大山が映り込んだ画像を、私たちの仲間内に紹介したいですが、よろしいでしょうか?
投稿情報: まっきー | 2021/09/01 11:23