夏は鍾乳洞。猛暑の日中はさらなり、夕暮れもなほ、コウモリの多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、突然ぶつかって来るもをかし。天井から水滴など落つるもをかし。
鍾乳洞の涼しさは極上だ。そして、この世とは思えない異空間も楽しい。しばらく夢心地なのだが、出口が近くなって暖気を感じ、ちょっとした冒険が終わると寂しくなる。この夏もずいぶん賑わったことだろう。今日は岐阜県の鍾乳洞をレポートする。
郡上市八幡町美山に郡上市指定の天然記念物「八幡大鍾乳洞」がある。一般に「美山鍾乳洞」と呼ばれている。近くには大滝鍾乳洞、縄文洞と鍾乳洞が多い。
この鍾乳洞を形成する石灰岩は、今から2億5千万年以上前のペルム紀に、南の暖かい海にあったサンゴ礁だという。これが海洋プレートに乗って、だんだんとこっち側にやって来た。そして大陸プレートにぶつかって沈み込む際に、サンゴ礁やその下にある海山がはぎとられ、石灰岩や玄武岩などがぐちゃぐちゃに積み重なり、大陸にくっついた。これがジュラ紀のことだから「ジュラ紀付加体」といい、このあたりの地質帯「美濃帯」はその一つである。
これは入口近くにある「希望の亀」である。最近「希望の党」という政党がつくられ、政権交代という野望を抱いているようだが、必ずしも展望が開けているわけではない。期待しすぎると絶望することになるから要注意だ。
いっぽう希望の亀は「2億年以上かけて自然にできたものです」と説明されており、多くの人が賽銭を置き願を懸けている。同じ希望でも、党と亀とでは信頼度の差は歴然としている。
枝野さんが「立憲民主党」を立ち上げ、歴史教科書でおなじみの「立憲」を冠する政党が数十年ぶりに復活した。ロシア革命史で重要な足跡を残した「立憲民主党(カデット)」と同名で、こちらを基準とすればちょうど100年目の復活である。
今回の選挙の構図は三つ巴となった。安倍一強や小池女王の独裁に反対するリベラル系は、立憲民主党、社会民主党、日本共産党ということになろうか。「立憲」復活に合わせて3つの党を「護憲三派」とレトロに呼びたい。歴史上の用語としては、第二次護憲運動を主導し普通選挙制を実現した政党のことである。新護憲三派も歴史を動かせればいいが。
総選挙となり理屈もへったくれもなくなって、熟議民主主義にほど遠い状況である。新党は長続きしないのが通例で、長い歴史を誇るのは自由民主党と公明党、日本共産党だけだ。このたび急遽、新党の候補者になった人たちは、亀は万年、いや億年の「希望の亀」を拝んでおいたほうがいいだろう。
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