昨日11月2日、英国が「バルフォア宣言」で、パレスチナにおけるユダヤ人国家建設を支持してから、ちょうど100年を迎えた。メイ首相(英)とネタニヤフ首相(イスラエル)は祝賀の夕食会をしたが、アッバス議長(パレスチナ自治政府)は謝罪と国家承認を求めている。メイ首相は宣言を高く評価し、謝罪に応じる様子はない。解決の糸口さえ見つからない現代の百年戦争である。
バルフォアは英国の外相の名前だが、実は日本にも関係が深い人物だ。日露戦争においては、日英同盟が日本に有利に働いたことはよく知られている。戦争当時、バルフォアは英国の首相を務めており、日本の立場を支持し、同盟関係を強化したのである。その新たな同盟については「日英同盟とは何だったのか」でレポートしているので、ご覧いただきたい。
さて、話がまったく変わるが、郷土かるたの王様は「上毛かるた」で、群馬県民なら誰でも知っているという。地域の名所、名産、偉人について、遊びながら学ぶことができる。愛郷心を育むには格好の教材である。
上毛かるたに触発されたのか、全国各地で郷土かるたが制作されている。郡上市の「郡上かるた」は比較的新しく、平成23年の製作である。全部で44枚の札があり、今日はそのうちの1枚を紹介しよう。
郡上市八幡町本町に「宗祇水(そうぎすい)」がある。
宗祇とは著名な連歌師で、郡上の地では、東常縁(とうのつねより)から古今伝授を受けたことで知られる。宗祇はこのあたりに滞在していたらしい。また、この湧き水は「白雲水」とも呼ばれる。これには、どのような由来があるのだろうか。『郡上かるた副読本ふるさとに学ぶ』を読んでみよう。
古今伝授を受けた宗祇は、都へ帰ることになりました。宗祇を送って来た東常縁は、小駄良川のほとりの泉(現宗祇水)あたりで
もみじ葉のなかるる竜田しら雲の花のみよし野おもひわするな
と詠みました。
江戸時代、郡上藩主遠藤常友は、この泉のあたりを整備し「白雲水」と名づけました。金森頼錦は、白雲水の名とその意義を後世に伝えるために石碑を建立しました。
文化史上特筆すべき古今伝授が、藩内の地で常縁と宗祇により行われた。これを殿様は誇りに思い、文化振興を願って二人にゆかりの泉を整備したのだろう。遠藤常友は防火のために町中に水路を巡らせ、名君として慕われている。求肥抹茶餅の銘菓「常友」としても人気だそうだ。いっぽう金森頼錦は、郡上一揆で改易されている。
由来はもちろん水質としても申し分ないので、昭和49年に岐阜県の史跡に指定され、昭和60年には環境省選定「名水百選」に選ばれた。そこで読み札は「め 名水百選 宗祇水」。
ストレートな句である。今年の12月2日(土)には第6回郡上かるた大会が開かれるそうだ。殿様の願った文化振興は確かに根付いている。
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