「いがむ」というのは方言らしい。確かに「歪む」に振り仮名を当てれば「ゆがむ」だ。それでも私の考えがいがんでいるからか、「いがむ」が普通に思えてならない。考えだけでなく、見ると田んぼまでいがんでいた。当地では「いがみ田」と呼ぶそうだ。しかも棚田百選の一つ。いがんでいることが魅力なのだから、まっすぐに生きるのも考え直したほうがよいかもしれない。
このブログでは棚田百選のうち「こいのぼりの泳ぐ棚田」で兵庫県の乙大木谷の棚田、「円形劇場のような棚田」で岡山県の大垪和西棚田を紹介したことがある。本日は棚田紀行第三弾として鳥取県からレポートする。
鳥取県岩美郡岩美町洗井に日本の棚田百選の「横尾の棚田」がある。緩やかな斜面にいくつもの小さな田が連なっている。
以前からジオパークには興味があった。大地の鼓動を目にすることができるのだ。もちろん、眺めているうちに動くわけではない。しかし、動いた痕跡を感じとることができる。
今日紹介している緩斜面もジオパークの構成要素の一つだという。こんな穏やかな光景に何があったというのだろう。山陰海岸ジオパーク推進協議会が設置した説明板を読んでみよう。
このあたりの緩い斜面は、日本海ができる時の火山活動などでできた地層が、ゆっくりと地すべりを起こして形成されたものです。
この斜面を利用した棚田は、“いがみ田”とも呼ばれ、不規則な配置がその名の由来となっています。
棚田の主な役割
・山に降った雨水を水資源として蓄える
・緑のダムとして洪水や地すべり等の土砂災害を防ぐ
・動植物を育み、生物の多様性を保全する
そして、日本の原風景ともいわれる景観が人々の心を癒します。
横尾の棚田は「日本の棚田百選」に選定され、ボランティア・棚田オーナー制により、この美しい景観が維持されています。
なんと、ここで「地すべり」があったのだという。いったい、いつのことか。「日本海ができる時の火山活動」とあるから、2000万年位前の出来事なのかもしれない。歴史時代となって不規則な等高線の地形が開墾された。自然と田の区画はいびつな形となる。まさに「いがみ田」だ。
「地すべり」は大地が崩壊するというだけでなく、大きく状況が変化することも意味している。願わくは、2月下旬からのワクチン接種開始で、コロナウイルスに地すべり的勝利を収めてもらいたい。五輪もそうだが、今後の展望はとにもかくにもワクチン頼みである。
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