モモソヒメ(倭迹迹日百襲姫命)は記紀のヒロインである。史実の上では卑弥呼に比定されている。モモソヒメの墓とされている箸墓古墳は,考古学上,卑弥呼の墓である可能性が高いからだ。
この記紀の姫宮は香川県で特に人気が高い。桃太郎の姉だとか,かぐや姫あるいは乙姫のモデルだと言われている。讃岐国一宮の田村神社では主祭神として崇敬されている。
東かがわ市馬篠にある「櫓掛神社(艪懸明神)」もモモソヒメを祭神としている。
モモソヒメは八歳で大和から讃岐へと来訪し,農業の振興に務め,十八歳のとき大和に連れ戻されたという。この神社は,姫宮の乗った舟の櫓をかけた松があったことに由来している。
松のあった場所に石碑があり「この松の実生えせし世や神の秋 ばせを」とあるが,「真に芭蕉の句なりや擬芭蕉人の句なりや知らぬ」と『丹生村今昔物語』は記している。
若きヒロインを乗せた舟は,この地に泊まっていた。やがて大和に帰ったモモソヒメは,即位して卑弥呼となったのだろうか。記紀はただ,モモソヒメが巫女のように神懸りしたことを記すのみである。
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