吉備の刀剣といえば,東の長船,西の青江だ。長船は吉井川,青江は高梁川と地理的に似ているように思える。長船は知名度の高さもさることながら自治体のバックアップもあって,史跡や学習施設が整備されている。しかし,青江鍛冶を偲ぶ史跡は前編で紹介した倉敷市祐安の「青江の井戸」くらいなものだ。と思っていたら…。
倉敷市酒津に「青江の井戸」がある。
「安次」の子孫の方が建てた石碑には「青江鍛冶七代井戸」と刻まれている。高梁川の西岸にある八幡山のふもとに位置する。ここにたどり着くのは至難の業だ。祐安の井戸から直線距離ではたいしたことはないが,橋を渡るために大きく迂回し,未舗装の道を走った上,車を降りて徒歩で行く。新幹線の高架を越えて少しのところにある。
安次,守次,貞次,次家などの平安末から鎌倉中期にかけて活躍した青江鍛冶を古青江と呼び,その作風が高く評価されている。特に安次は青江鍛冶の始祖と位置付けられている。
倉敷市内の祐安と酒津の二か所にある「青江の井戸」。どちらが本物なのか。『新修倉敷市史2古代・中世』には次のように記されている。
青江の地を比定する上で忘れてはならないものに,備中国内に散在する青江の井と称するものがあり,『備中集成志』には青江の清水と称するものは窪屋郡子位庄村,同木屋村,同酒津村,吉備津の有木別墅細谷川の辺り,賀陽郡井尻野村などを記している。また『備中誌』には,賀陽郡花尻村,後月郡荏原村,窪屋郡小屋村,阿賀郡永田村に青江の清水があるとしている。青江鍛冶がこのうちの一つに鞴を持ったとは考えられず,かえって青江刀工が広い地域において鍛刀していたと考えられないでもない。
これで分かった。前回と今回で紹介した青江の井戸は,子位庄村と酒津村の井戸であったのだ。真金吹く吉備の地である。刀鍛冶の遺跡がいくつあっても不思議ではない。
リークンさま
数あるサイトの中から当ブログを見つけてくださり、ありがとうございます。
私も青江の井戸にたどり着いた時には感動しました。刀剣ブームの今、注目のスポットです。
投稿情報: 玉山 | 2016/02/21 21:01
青江の井戸コンプリート出来ました☺
ありがとうございました☺
まさか2っあったなんて知りませんでした、本当に感激しました。
投稿情報: リークン | 2016/02/21 17:25